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Canon EF50mm F1.4 USM

Canon EOS 5D Mark3 / EF50mm F1.4 USM / F1.4 / +0.6EV / ISO400 / RAW

写真の教本を読むとだいたい書かれているのが「50mmが基本です」。
曰く人間の見た目景色に近いからだそうですが、私の感覚では50mmはそれよりもかなり狭い範囲が写る気がし、実際に本によっては「注視したときの画角」なんて書いてあるものもあります。注意散漫な私なものですから、それよりも廻りも含めて表現できる35mm、そして自然な40mmが私にとってはずっと使いやすい画角となります。50mmは望遠過ぎて使いづらい、と。


そんなこともあり、APS-Cの時代から換算50mmは縁遠いレンズで、実際にその画角のレンズを手にできたのはフルサイズに移行した数年前からとなります(APS-C時代に50mmレンズは所有していたものの、換算80mmとなるため、50mm=中望遠レンズ、という認識がありました)。実際、この50mm/F1.4を手にしてからもしばらくは積極的に使う(使える)レンズではありませんでした。好みで無い画角に加え、猛烈に落ちる周辺、少し寒色系の色調が当時使っていた「現代的レンズ(たとえばタムロン24-70VCなど)」とは余りに表現の傾向がかけ離れていて、当時の興味はそちらばかりにありました。

 

…が、
あるとき、「良く写る」レンズにちょっとした飽きを感じこのレンズのみを持ち出して散歩してみました。絞ったり開けてみたり、寄ってみたり引いてみたり、逆光だったり斜光だったり。。。いろいろ遊んでいるうちに、絶対的な写りというより、そこから吐き出す「表現の変化」がものすごく激しく、そして豊かであることに気づきました。

 

開放で写したときの…PCで等倍表示したときには紫のフリンジが目立ちまくり、細かい被写体も滲むというかだらしくなく溶けるというような表現で、そこだけ見るとお世辞にも上質な画では無いのに、プリントしてみるとそれが妙な「立体感」という「表現」として吐き出されてきます。そして、一段一段絞っていくと、F2.8辺りを境にして一気に先鋭感を増していき、F5.6あたりから先は最新レンズに負けないほど-最新のLも何本か使っていますが、その中でも最も、と思うほどのキレキレの描写をするレンズに大化けします。早くリニューアルしろ!と、ネットではかなり叩かれまくっているレンズですが、こんなに楽しいレンズなのに勿体ない!といつも感じてしまいます(僕も当初「たいしたことないなあ」と言っていたのは思い切り棚に上げることにします(^-^;)

 

ズームも出来ず、画角も平凡。だけれど、「写真表現の奥深さ」に気づいた一本となりました。
解放からきっちりした写りを求められる場面もそのうち表れるんだろうと思うと、値段のこなれてきたSIGMA A50/1.4なども欲しいこの頃ですが(もしくは1年毎くらいに噂になる新型純正の1.4?)、それらを手に入れてもきっとこのレンズは手元に残るんだろうなあ、と思うほど無くてはならない1本になりつつあります。
 

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