SIGMA 50mm F1.4 DG HSM

Canon EOS 5D MarkIII / SIGMA 50mm F1.4 DG HSM Art / F1.4 / +0.3EV / ISO50 / RAW
既に純正の50mmF1.4USMを所有しているのですが、「開放からきちっと映る50ミリ」が欲しくて、ちょっと衝動気味で購入してしまったレンズです。EFの登場が93年、このArt50ミリの登場が2014年ですから、20年以上の年月を、そしてその時間を軽量化に費やさず「画質」にただ振り分けたとき、どう使い分けられるかでワクワクしてしまいました。
シグマのアートライン。
35mmでそのキレを、85mmでその空気感を。これでもかっというほど実感を味わい、衝撃を受けたシリーズですから否応なしにその期待が膨らみました。そして、約1年ほど使ってみてその期待は確信へと変わりました。マジで、「解放からきちっと映る」が実現出来ているんです。
EFだと、開放からF2.5ほどまでは「ゆるふわ」の画ですが、それから絞る毎に鮮鋭度を増し、F5.6を超えた頃から恐ろしいほどビシッと写り始める、めちゃめちゃ表情のあるレンズでした。それが個性としてとても楽しいものではあったのですが、時と場合によっては開放でもきちっと写したい場合も出てきます。
そんなときこそ、このArt50ミリの出番です。
周辺光量落ちこそEFに負けず劣らずですが、解放からキレキレの画を生み出します。APS-Cで使う分には、被写体によっては絞って撮ったか開けて撮ったかよく分からないような画を生んでくれることも。EFでは目立ちまくる、輝度差のあるところに出る紫のフリンジや、画面が真っ白になってしまうような逆光性能の弱さはみじんも感じられません。加えて最短撮影距離も(たった5cmですが)短いので使い勝手もよろしいという、メチャメチャ優等生なレンズですが、逆にいうとどの絞り、どの距離で撮ってもEFほどの変化がなく、「面白くない」と感じる方も居るのではと思いました。
EFとArt。どちらか一本選ぶとしたら…「両方」と言いたいところですがそれでは答えになっていませんね。私だったらEFでしょうか。
私にとっての写真の楽しさは「良く映る」ということではなく、イメージしたとおり-目の前のものやことと同じようになるだけではなく-に画となることです。思いっきり主観の入るとき、それがたとえ「実物と違っていても」、「解像感が劣っていても」、残したいイメージがそれなのだとしたら、それはその写し手に取って「成功」と言えるのだと思います。EFは明けて絞って、いろいろな表情の下に写真を残せる「楽しい」レンズであることは間違いありません。
このシグマのレンズは、そうしたことを踏まえて、さらに一本、というときに有用なもの。スペックこそ一緒でも、EFとは全く違った「画材」ですね。